ビタミンDとは脂溶性ビタミンの一種で、ビタミンD食品からの摂取のほかに紫外線(日光)を浴びることでも合成されます。
ビタミンDは体内で活性型ビタミンDに変換されることでカルシウム・リンの吸収を助ける、骨や歯の健康維持などの働きをします。
ビタミンDを含む食品には魚・キノコ・卵黄・乳製品があります。
- 1 ビタミンDの摂取量・過剰摂取・不足・欠乏・ビタミンD食品 目次:
- 2 ビタミンDとは:
- 3 紫外線(日光)により合成されるビタミンD:
- 4 ビタミンDの効果・効能:
- 5 ビタミンDの効果・効能の科学的有効性:
- 6 ビタミンD摂取の臨床試験による効果・効能:
- 7 ビタミンDの摂取量:
- 8 ビタミンDの摂取量上限(過剰摂取基準)・副作用:
- 9 ビタミンD食品:
- 10 キノコは紫外線(日光)に当てるとビタミンDの摂取量が増す:
- 11 ビタミンDの不足(欠乏)による欠乏症:
- 12 ビタミンDの特に不足(欠乏)しやすい人:
- 13 ビタミンDと薬との相互作用:
- 14 ビタミンDの栄養機能食品表示:
- 15 ビタミンDの効果的な摂取の仕方:
- 16 ビタミンDの摂取量・過剰摂取・不足・欠乏・ビタミンD食品 参考文献:
ビタミンDの摂取量・過剰摂取・不足・欠乏・ビタミンD食品 目次:
ビタミンDとは
紫外線(日光)により合成されるビタミンD
ビタミンDの効果・効能
・ビタミンDの循環器系への効果・効能
・ビタミンDの消化器系への効果・効能
・ビタミンDの内分泌・代謝系への効果・効能
・ビタミンDの泌尿器系への効果・効能
・ビタミンDの皮膚への効果・効能
・ビタミンDの骨への効果・効能
・ビタミンDの成長への効果・効能
・ビタミンDの癌(がん)への効果・効能
・ビタミンDの歯への効果・効能
ビタミンDの効果・効能の科学的有効性
ビタミンD摂取の臨床試験による効果・効能
ビタミンDの摂取量
ビタミンDの摂取量上限(過剰摂取基準)・副作用
ビタミンD食品
キノコは紫外線(日光)に当てるとビタミンDの摂取量が増す
ビタミンDの不足(欠乏)による欠乏症
ビタミンDの特に不足(欠乏)しやすい人
ビタミンDと薬との相互作用
ビタミンDの栄養機能食品表示
ビタミンDの効果的な摂取の仕方
ビタミンDの摂取量・過剰摂取・不足・欠乏・ビタミンD食品 参考文献
ビタミンDとは:
ビタミンDとは脂溶性ビタミンの一種で、構造式の違いによりビタミンD2~ビタミンD7までの6種類のビタミンDが存在しますが、ビタミンとしての効果が高いのはビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)のため、一般的にビタミンDといえばこの二つのビタミンDのことを指します。
ビタミンDは体内で活性型ビタミンDに変換されますが、活性型ビタミンDに変換されてはじめてカルシウム・リンの吸収を助けたり骨や歯の健康維持、筋肉の収縮などの働きをすることができます。
紫外線(日光)により合成されるビタミンD:
ビタミンDはビタミンD食品の摂取のほか、紫外線(日光)を浴びることで体内で合成することもできます。
紫外線(日光)を浴びることにより体内で合成されるビタミンDの量は次のとおりです(一日当たり)。
夏の晴天 18μg
冬の晴天 10μg
夏の曇り 6.5μg
冬の曇り 3.75μg
ビタミンDの摂取量の項でも述べていますように、一日に必要なビタミンD摂取量は成人で5μgであるため、紫外線(日光)を浴びるだけでも十分な量のビタミンDを体内で合成できることになります。
しかし最近は外で遊ぶ子供が減ってきているためか、ビタミンD不足で骨折しやすい子供が増えてきているそうです。
ビタミンDの効果・効能:
ビタミンD食品やビタミンDサプリメント・ビタミンD製剤には次のような効果・効能が期待されています。
ビタミンDの循環器系への効果・効能
・腎不全で人工透析を受けることによる、あるいは副甲状腺機能低下症または偽性副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症の治療効果
ビタミンDの消化器系への効果・効能
・カルシウムやリンの吸収を高める効果
ビタミンDの内分泌・代謝系への効果・効能
・乳児期のビタミンDサプリメント摂取による1型糖尿病の発症リスク低減効果
ビタミンDの泌尿器系への効果・効能
・腎臓でのカルシウム・リンの再吸収促進効果
ビタミンDの皮膚への効果・効能
・尋常性乾癬の治療効果
ビタミンDの骨への効果・効能
・リン酸サプリメントとの併用による、肝臓病・腎臓病・副腎皮質ホルモン誘導性・家族性リン酸塩血症などを原因とした骨軟化症・骨粗しょう症・骨形成異常症の治療効果
・ビタミンD依存性のくる病の治療効果
・カルシウムサプリメント・フッ素サプリメントとの併用による、閉経後の女性の骨粗しょう症や骨折のリスク低減効果
ビタミンDの成長への効果・効能
・細胞の分化・増殖を促す効果
ビタミンDの癌(がん)への効果・効能
・白血病・乳がん・前立腺がん・大腸がんなどの癌の発症抑制、および癌細胞のアポトーシス促進効果
ビタミンDの歯への効果・効能
・乳幼児の歯の正常な発達促進効果
ビタミンDの効果・効能の科学的有効性:
効果・効能レベルA
・骨の形成促進効果
・カルシウムの腸管吸収促進効果
※機能性食品素材便覧-特定保健用食品からサプリメント・健康食品までによる評価
効果・効能レベル1(効果がある)
・体の衰えや骨の痛みが原因で起こる多くの病気の治療効果
・ファンコニ症候群による血中リン酸値上昇の抑制効果
・乾癬の治療効果(ビタミンD製剤による治療効果)
・副甲状腺、甲状腺ホルモン値の低下が原因によるカルシウム値低下の改善効果
効果・効能レベル2(おそらく効果がある)
・副腎脂質ステロイドを服用している人の骨量低下の予防効果
・骨の強化
高齢者の転倒予防効果
効果・効能レベル3(効果の可能性が科学的に示唆)
・糖尿病の予防効果
(ただし生後1年以内の赤ちゃんにビタミンDサプリメント・ビタミンD製剤を与えた場合の効果)
・初期の皮膚がん治療効果
・多発性硬化症の予防効果
・高齢女性の慢性関節リウマチの予防効果
※健康食品のすべて-ナチュラルメディシン・データベース日本対応版/同文書院による評価
ビタミンD摂取の臨床試験による効果・効能:
効果があると断言はできませんが、ビタミンD食品・ビタミンDサプリメント・ビタミンD製剤の摂取による臨床試験や疫学調査により次のような効果・効能が示唆されています。
・ビタミンD誘導体カルシポトリオールの摂取により尋常性乾癬の症状がステロイド薬と同等以上に改善した
・肝臓病・腎臓病・副腎皮質ホルモン誘導性などを原因とした骨軟化症・骨粗しょう症・骨形成異常症の治療効果
・腎不全で人工透析を受けることによる、あるいは副甲状腺機能低下症または偽性副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症の治療効果
・一日にカルシウム500mgとビタミンD17.5μgを摂取したところ骨密度が有意に上昇した
・ビタミンDとカルシウムを多く摂取している人は結腸癌の発症率が低かった
※これらの効果・効能は病気の人に対する医師の処方によりビタミンDを摂取した場合の効果・効能で、独自の判断によるビタミンD摂取による効果・効能ではありません。
後述しますようにビタミンDの過剰摂取には副作用が生じることがありますのでご注意ください。
ビタミンDの摂取量:
ビタミンDの一日の推奨摂取量は0~5ヶ月2.5μg、6~11ヶ月4μg、1~7歳3μg、8~14歳4μg、15歳以上5μg、妊娠中・授乳中の女性7.5μgとされています。
ビタミンDの摂取量上限(過剰摂取基準)・副作用:
ビタミンDの摂取量上限(過剰摂取基準)は一日0~5歳25μg、6~9歳30μg、10~11歳40μg、12歳以上50μgで、この摂取量を超える量のビタミンDを摂取(過剰摂取)すると次のような副作用を生じることがあります。
※ただし妊娠中・授乳中の女性は安全性を考慮して10μg以内の摂取量に抑えることが推奨されています。
・高カルシウム血症
・不整脈
・高カルシウム無尿症
・食欲不振
・体重減少
(体重が減少するかもしれないからといってダイエット目的でビタミンDを過剰摂取することは、その他のビタミンDの過剰摂取による副作用を生じる可能性がありますので大変危険です)
・多尿
・嘔吐
・口渇
・腎障害
・不機嫌
・異常石灰化
・筋無力化
・腎結石
・骨粗しょう症
・全身性見当識障害
・尿毒症
・便秘
ビタミンD食品:
ビタミンD食品(ビタミンDを含む食品)としては魚・キノコ・卵黄・乳製品などが挙げられ、特にビタミンDの多い食品としては乾燥きくらげ(特に白きくらげ)・あんこうの肝(あん肝)・鮭・カジキ・ニシン・かわはぎ・マス・イサキ・秋刀魚・アジ・イワシがあります。
キノコは紫外線(日光)に当てるとビタミンDの摂取量が増す:
ビタミンD食品のうちキノコは生のものよりも紫外線(日光)を当てた乾燥キノコの方がビタミンDを多く含んでいます。
(キノコに含まれるビタミンD前駆体エルゴステロールが紫外線によりビタミンDに変化するためです)
ただし乾燥キノコには機械乾燥で製造されたものも多いため、購入してから「かさの裏を」紫外線(日光)に当てるとビタミンDの摂取量を増やすことができます。
ビタミンDの不足(欠乏)による欠乏症:
ビタミンDが不足(欠乏)すると様々な欠乏症の症状が表れます。ビタミンD欠乏症の症状としては次のようなものが知られています。
・くる病
・動脈硬化
・骨軟化症
・骨粗しょう症
・X脚・O脚
・虫歯
ビタミンDの特に不足(欠乏)しやすい人:
次に該当する人は特にビタミンDが不足(欠乏)しやすくなりますので、ビタミンD欠乏症の予防のためにも意識してビタミンDを摂取する必要があります。
・日焼け止めクリームを常用している人
・外にあまり出ない人
・夜型生活の人
・皮膚の薄くなりがちな高齢者
ビタミンDと薬との相互作用:
ビタミンDは次の薬との相互作用があるので摂取に当たっては注意が必要です。
・制酸薬
ビタミンDが制酸薬に含まれるアルミニウムの吸収量を増加させる恐れがあります。
(この相互作用は特に腎臓病の人にとって問題となる恐れがあります)
そのため制酸薬を服用している人がビタミンDサプリメントやビタミンD製剤を摂取する場合は、制酸薬服用の2時間以上前または4時間以上後にする必要があります。
Calcipotriene:
CalcipotrieneはビタミンDに類似した薬であるため、Calcipotrieneを服用している人がビタミンDサプリメントやビタミンD製剤を摂取するとCalcipotrieneの作用が増強され副作用が出やすくなります。
そのためCalcipotrieneを服用している人はビタミンDサプリメントやビタミンD製剤の摂取を控える必要があります。
・ジゴキシン
ジゴキシンの服用中にビタミンDサプリメントやビタミンD製剤を摂取するとジゴキシンの作用が増強され不整脈を引き起こす恐れがあります。
そのためジゴキシンを服用中の人は医師の指示なしにビタミンDサプリメントやビタミンD製剤を摂取してはいけないとされています。
・ジルチアゼム
ジルチアゼム投与中に大量のビタミンDを摂取するとジルチアゼムの効果を弱める恐れがあります。
・チアジド系利尿薬
チアジド系利尿薬は体内のカルシウム量を増加させる可能性があるため、大量のビタミンDをチアジド系利尿薬と共に摂取すると体内のカルシウム量が過剰になり、腎臓障害などの重大な副作用を起こす恐れがあります。
・ベラパミル
ビタミンDはカルシウムの吸収率を高めることを通して心臓に影響を及ぼしますが、ベラパミルも心臓に影響を及ぼします。
そのためベラパミル投与中は大量のビタミンDを摂取してはいけないとされています。
ビタミンDの栄養機能食品表示:
ビタミンDは栄養機能食品の栄養成分の一つで、ビタミンD含有量1.5~5μgの栄養機能食品・サプリメントに限り「ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です」との表示が可能となっています。
ビタミンDの効果的な摂取の仕方:
ビタミンDは魚・キノコ・卵黄・乳製品などに含まれていますが動物性食品の方が吸収率が高いという特徴があります。
そのため魚・卵黄・乳製品などの食品の方がビタミンDを効果的に摂取できます。
ただしビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、植物性食品のキノコも炒め物や揚げ物にすればビタミンDの吸収率をアップさせることができます。
またキノコは紫外線(日光)に当てるとビタミンDの摂取量が増すの項でも述べましたように、キノコは調理の前にあらかじめかさの裏を紫外線(日光)に当てるとビタミンDの摂取量を増やすことができます。
ビタミンDの摂取量・過剰摂取・不足・欠乏・ビタミンD食品 参考文献:
栄養の基本がわかる図解事典/成美堂出版
最新栄養成分事典/主婦の友社
機能性食品素材便覧-特定保健用食品からサプリメント・健康食品まで/薬事日報社
健康食品のすべて-ナチュラルメディシン・データベース日本対応版/同文書院
最新サプリメントガイド/日本評論社
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