ビタミンEとはもともと不妊の治療に効果のある物質として発見された強力な抗酸化作用を持つ物質で、過剰摂取による副作用の心配の少ないビタミンです。
ビタミンEを含む食品(ビタミンE食品)はナッツ・植物油・魚で、特にビタミンEを含む食品には西洋かぼちゃ・アーモンド・ウナギなどがあります。
ビタミンEの効果・効能・摂取量・過剰摂取・副作用・ビタミンE食品 目次:
ビタミンEとは
ビタミンEの効果・効能
・ビタミンEの循環器系への効果・効能
・ビタミンEの神経系への効果・効能
・ビタミンEの免疫系への効果・効能
・ビタミンEの生殖器系への効果・効能
・ビタミンEの関節への効果・効能
・ビタミンEの感覚器への効果・効能
・ビタミンEの成長への効果・効能
・ビタミンEの癌(がん)への効果・効能
・ビタミンEのその他の効果・効能
ビタミンEの効果・効能の科学的有効性
ビタミンE摂取の臨床試験による効果・効能
ビタミンEの摂取量
ビタミンEの摂取量上限(過剰摂取基準)・副作用
・ビタミンEの過剰摂取による副作用
ビタミンE食品
ビタミンEの不足(欠乏)による欠乏症
ビタミンEと薬との相互作用
ビタミンEの栄養機能食品表示
ビタミンEの効果的な摂取の仕方
・ビタミンEの酸化を防ぐゴマのセサミン
ビタミンEのその他の用途
ビタミンEの効果・効能・摂取量・過剰摂取・副作用・ビタミンE食品 参考文献
ビタミンEとは:
ビタミンEとは脂溶性ビタミンの一種であり、もともと不妊の治療に効果のある物質として発見され、その後の研究で不飽和脂肪酸やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化抑制などの抗酸化作用があることが明らかとなりました。
天然のビタミンE(食品に含まれるビタミンE)はトコフェロールとトコトリエノールに大別され、それぞれα・β・γ・θの4種類のビタミンEが存在しています。
これらのビタミンEの中で最も強い抗酸化作用を持つビタミンEはα-トコフェロールです。
そのためサプリメントなどに配合されているビタミンEのほとんどはこのα-トコフェロールです。
また天然のビタミンEの方が人工的に作られたビタミンEよりも抗酸化作用や吸収力が優れています。
ビタミンEは抗酸化ビタミンの中で最も強力な抗酸化作用を持ち、さらに過剰摂取による副作用の心配が比較的少ないことから、積極的に摂取することが望まれているビタミンです。
またサプリメント・健康食品の他にも、加工食品の酸化防止剤としても使われています。
ビタミンEの効果・効能:
ビタミンE食品(ビタミンEを含む食品)やビタミンEサプリメント・ビタミンE製剤には次のような効果・効能が期待されています。
ビタミンEの循環器系への効果・効能
・17mg以上のビタミンEの摂取によるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化抑制効果
・心臓血管疾患の予防効果
・133~267mgのビタミンEの摂取による血小板の粘着抑制効果
・67mgのビタミンEの摂取による虚血性心疾患の発症リスク低減効果
・抗酸化作用により生体膜を安定化させる効果
・溶血性貧血の溶血率を低下させる効果
・ビタミンEとエリスロポエチンとの併用による透析患者の貧血改善効果
・造血ビタミンとしての効果
・他の抗酸化物質と同様、動脈硬化の予防効果
・抹消血管の血流を改善し全身の新陳代謝を活発にする効果
・肩こり・冷え症の改善効果
ビタミンEの神経系への効果・効能
・遅発性ジスキネジー(向精神薬の長期服用によって起こる持続性不随意運動)の治療効果
・アルツハイマー病の認識機能の衰えを抑制する効果
・ビタミンEとビタミンCとの併用による血管性認知症の治療効果
・ビタミンEやビタミンCを多く含む食品を摂取することによる神経系の慢性疾患の発症リスク低減効果
・天然ビタミンE(ビタミンE食品に含まれるビタミンE)の摂取による初期のハンチントン病の治療効果
・フリーラジカルを除去しミトコンドリアと神経系の軸索膜を保護する効果
・記憶力を高める効果
ビタミンEの免疫系への効果・効能
・正常な免疫機能、特にT-リンパ球(ヘルパーT細胞)の働きを高める効果
ビタミンEの生殖器系への効果・効能
・精子の機能と受精率を高める効果
・月経前症候群(PMS)の治療効果
ビタミンEの関節への効果・効能
・治療薬とビタミンEとの併用によるリウマチ性関節炎の治療効果
ビタミンEの感覚器への効果・効能
・目の網膜の酸化抑制効果
・ビタミンEとビタミンCとの併用によるブドウ膜炎の視力向上・炎症改善効果
・近視のレーザー治療(レーシック治療)における角膜切除後の治癒を早める効果
・他の抗酸化ビタミン(ビタミンC・ベータカロチン)・亜鉛との併用摂取による加齢黄斑変性(AMD)の進行を遅らせる効果
ビタミンEの成長への効果・効能
・老化を遅らせる効果
ビタミンEの癌(がん)への効果・効能
・ビタミンE50mgの摂取による前立腺がんの発症リスク低減効果
・ビタミンE67mg以上の摂取による大腸がん・口腔咽頭がんの発症リスク低減効果
・ビタミンEサプリメントの摂取による膀胱がんの死亡率低減効果
ビタミンEのその他の効果・効能
・重金属やフリーラジカルを産生する肝毒素、および酸化による損傷を引き起こす様々な薬に対する保護効果
(ただし動物実験での効果)
ビタミンEの効果・効能の科学的有効性:
効果・効能レベルA
・脂質の酸化防止効果
・細胞の健康維持効果
(いずれも栄養機能食品の栄養成分としてビタミンEを2.4~150mg摂取した場合の効果)
効果・効能レベルC
・心臓病の発症リスク低減効果
(栄養機能食品以外の摂取による効果)
※機能性食品素材便覧-特定保健用食品からサプリメント・健康食品までによる評価
効果・効能レベル1(効果がある)
・ビタミンE欠乏症の治療・予防効果
効果・効能レベル3(効果の可能性が科学的に示唆)
・遅発性ジスキネジアおよびジスフラキシアの治療効果
・膀胱がんの死亡率低減効果
・アルツハイマー病の記憶力喪失の悪化を遅らせる効果
・変性関節炎の症状悪化を抑える効果
・治療薬とビタミンEとの併用による慢性関節リウマチの痛みを緩和する効果
・足や腕の血液循環異常の危険性を回避する効果
・男性の不妊の治療効果
・妊娠高血圧腎症の治療効果
・月経前症候群(PMS)の治療効果
・パーキンソン病の予防効果
・子供の腎臓異常(糸球体硬化症)の治療効果
・遺伝病・G6PD欠乏の治療促進効果
・人工透析患者の貧血の治療効果
・ベータサラセミアの治療効果
・抗がん剤による神経損傷の修復効果
・高齢者の認知症の予防効果
・皮膚病の一種、環状肉芽腫の症状緩和効果
・ブドウ膜炎の視力回復効果
・日焼けの予防効果
・ハンチントン舞踏病の症状緩和効果
・手術後の目の組織の回復を早める効果
・未熟児網膜症の治療効果
・硝酸塩という心臓病治療薬の効果を高める効果
・治療薬とビタミンEとの併用による加齢黄斑変性(AMD)の治療効果
※健康食品のすべて-ナチュラルメディシン・データベース日本対応版/同文書院による評価
ビタミンE摂取の臨床試験による効果・効能:
効果があると断言はできませんが、ビタミンE食品・ビタミンEサプリメント・ビタミンE製剤の摂取による臨床試験や疫学調査により次のような効果・効能が示唆されています。
・月経困難症に対してイブプロフェン単独で治療するよりもビタミンEを併用した方が鎮痛効果が高かった
・前立腺がん予防効果(疫学調査)
・ビタミンEとビタミンCとの併用摂取による、アテローム性動脈硬化症の進行遅延・死亡率低下効果(特に男性の喫煙者への効果)
・喫煙者の酸化ストレス減少効果
・加齢黄斑変性患者がビタミンE400IU(10mg)・ビタミンC500mg・ベータカロチン15mg・亜鉛80mgを同時摂取したところ症状の進行が有意に抑えられた
・中等度のアルツハイマー患者がビタミンEを2000IU(50mg)摂取したところ、症状の進行が有意に抑えられた
・小児の人口透析患者がエリスロポエチンの単独摂取よりもビタミンEを併用摂取した方が酸化ストレスが有意に減少した
・ビタミンEサプリメントを10年以上摂取した人は膀胱がんによる死亡率が有意に低かった
・ビタミンEサプリメントとビタミンCサプリメントを併用摂取すると、血管性認知症・混合型認知症の予防効果が認められた
・ハンチントン病患者が天然型ビタミンEを高用量摂取したところ、発症して間もない患者で神経症状が改善された
・正常精子不妊症患者がビタミンEを1日600mg摂取したところ精子の機能向上が見られた
・ビタミンE食品を多く摂取する人ほどパーキンソン病の発症が少ない傾向が見られた
・慢性関節リウマチ患者がビタミンE600mgを1日2回摂取したところ痛みの症状が軽減した
・遅発性ジスキネジー患者がビタミンEを1600IU(40mg)摂取したところ異常な不随意運動が減少した
・動脈硬化による冠状動脈疾患の予防効果は、抗酸化ビタミンの中でビタミンEが最も高かった
・食道がん・胃がんの多発する中国の林県で40~60歳の成人にビタミンE・ベータカロチン・セレンを5年間摂取させたところ癌死亡率が13%減少した
※これらの効果・効能は病気の人に対する医師の処方によりビタミンEを摂取した場合の効果・効能で、独自の判断によるビタミンE摂取による効果・効能ではありません。
後述しますようにビタミンEの過剰摂取には副作用が生じることがありますのでご注意ください。
ビタミンEの摂取量:
ビタミンEの一日の推奨摂取量は0~11ヶ月3mg、1~2歳5mg(4mg)、3~5歳6mg、6~7歳7mg(6mg)、8~9歳8mg(7mg)、10~11歳10mg(7mg)、12~14歳10mg(8mg)、15歳以上10mg(9mg)、授乳中の女性12mgとされています。
※()内は女性の推奨摂取量
ビタミンEの摂取量上限(過剰摂取基準)・副作用:
ビタミンEの摂取量上限(過剰摂取基準)は一日1~2歳150mg、3~5歳200mg、6~7歳300mg、8~9歳400mg(300mg)、10~11歳500mg、12~14歳600mg、15歳以上700mg(600mg)で、この摂取量を超える量のビタミンEを摂取(過剰摂取)すると次のような副作用を生じることがあります。
(ただし妊娠している女性・授乳中の女性は安全性を考慮して摂取量上限(過剰摂取基準)が一日400IU(10mg)とされています)
※()内は女性の摂取量上限(過剰摂取基準)
ビタミンEの過剰摂取による副作用
・ビタミンKの代謝阻害
・クマジンのような薬の抗凝固性効果の増長
・軽度の肝障害
ただしビタミンEの摂取量上限(過剰摂取基準)は非常に高用量ですから、サプリメントなどでビタミンEを大量に摂取する場合でも、サプリメントに明記の摂取量目安を守って摂取する限りはビタミンEの過剰摂取に陥る心配はありません。
ビタミンE食品:
ビタミンE食品(ビタミンEを含む食品)としてはナッツ類・植物油・魚などが挙げられ、特にビタミンEを多く含む食品としては西洋かぼちゃ・アーモンド・ピーナッツ(落花生)・ヘーゼルナッツ・イワシ・キングサーモン・ウナギ・子持ちガレイ・小麦胚芽があります。
ビタミンEの不足(欠乏)による欠乏症:
ビタミンEが不足(欠乏)すると様々な欠乏症の症状が表れます。ビタミンE欠乏症の症状としては次のようなものが知られています。
・不妊
・溶血性貧血
・感覚障害
・動脈硬化
・肝障害
・腎障害
・肺障害
・糖尿病
・老化
・しみ・そばかす
・冷え症
・筋肉壊死
・筋萎縮症
ビタミンEと薬との相互作用:
ビタミンEは次の薬との相互作用があるので摂取に当たっては注意が必要です。
・血液凝固抑制薬
ビタミンEには血液の凝固を抑制する作用があるため、血液凝固抑制薬と併用するとあざや出血が生じる可能性が高くなります。
・肝臓で代謝・分解される薬
ビタミンEは肝臓で代謝・分解される薬の作用を弱める恐れがあります。
・ナイアシン
ビタミンE・ベータカロチン・ビタミンC・セレンを同時摂取すると、ナイアシンがHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加させる効果を弱める可能性があります。
・ワルファリン
ビタミンEには血液の凝固を抑制する作用があるため、ワルファリンと併用するとあざや出血が生じる可能性が高くなります。
ビタミンEの栄養機能食品表示:
ビタミンEは栄養機能食品の栄養成分の一つで、ビタミンE含有量2.4~150mgの栄養機能食品・サプリメントに限り「ビタミンEは抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です」との表示が可能となっています。
ビタミンEの効果的な摂取の仕方:
ビタミンEはビタミンCと同時摂取すると抗酸化作用がアップします。またベータカロチン・ビタミンB2・セレンも抗酸化作用を持っているため、これらの抗酸化物質を含む食品やサプリメントも同時摂取することで抗酸化作用をさらにアップさせることができます。
またビタミンEは植物油に多く含まれていますが、古くなった油は酸化が進み抗酸化作用がなくなってしまうため、ビタミンEの抗酸化作用を高めるためには早めに使い切ることが大切です。
ビタミンEの酸化を防ぐゴマのセサミン
ゴマに豊富に含まれるセサミンというファイトケミカルにはビタミンEの酸化を防ぐ作用があります。
そのためビタミンE食品やビタミンEサプリメントを摂取するときにはゴマかセサミン入りのサプリメントを同時摂取しますと、よりビタミンEの抗酸化作用を高めることができます。
ビタミンEのその他の用途:
ビタミンEはサプリメント・健康食品の他にも、加工食品の酸化防止剤としても使われています。
ビタミンEの摂取量・過剰摂取・不足・欠乏・ビタミンE食品 参考文献:
栄養の基本がわかる図解事典/成美堂出版
最新栄養成分事典/主婦の友社
機能性食品素材便覧-特定保健用食品からサプリメント・健康食品まで/薬事日報社
健康食品のすべて-ナチュラルメディシン・データベース日本対応版/同文書院
野菜の科学/朝倉書店
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