減らすべきは炭水化物よりも飽和脂肪酸と考えるカウンセラー・写真家のダイエット・カロリーブログ

L-カルニチンの脂肪燃焼ダイエット効果☆牛肉・マトン(羊肉)を食べると痩せる?

L-カルニチンの脂肪燃焼ダイエット効果☆牛肉・マトン(羊肉)を食べると痩せる? 目次:

牛肉をたくさん食べた方がL-カルニチンの脂肪燃焼促進効果でダイエットになる?
L-カルニチンの脂肪燃焼ダイエット効果の根拠
他の脂肪燃焼ダイエット成分と同じく摂取しただけではダイエット効果は望めない…
L-カルニチンの脂肪燃焼ダイエット効果が得られない原因(私見)
・活動量(運動量)が増えない限り消費カロリーも増えない
・脂肪燃焼が減ると代わりに糖質の燃焼が増える可能性
・L-カルニチンの脂肪燃焼ダイエット効果が脂肪の燃焼割合を高めただけの可能性
牛肉は脂肪の含有量が多い
和牛の霜降り肉はダイエット・健康の大敵

牛肉をたくさん食べた方がL-カルニチンの脂肪燃焼促進効果でダイエットになる?

しばらく前の話ですがMXテレビ『U・LA・LA』でダイエットの特集をしていました。そのダイエットとは数年前に一世を風靡したL-カルニチンによる脂肪燃焼ダイエットです。
番組では牛肉・豚肉・鶏肉それぞれのL-カルニチン含有量を比較し、牛肉を食べた方が他の肉を食べるよりも太りづらく、またさらにL-カルニチンを多量に含む牛肉を食べれば食べるほどL-カルニチンの効果により内臓脂肪がドンドン燃焼されて痩せる(ダイエットになる)かのような印象を与えていました。
さらにこれらの情報が司会者ではなく番組に招かれていた栄養士(管理栄養士だったかもしれません)の方により提供されていたため、あたかも専門家の調査・研究に基づき科学的な根拠があるような印象を生んでもいました。
※番組では触れられていませんでしたが、マトン(羊肉)の方が牛肉よりもさらにL-カルニチンを多く含んでいます。
おそらくジンギスカンブームが去った今、羊肉は日常あまり口にする機会がないため除外されたものと思われます。

L-カルニチンの脂肪燃焼ダイエット効果の根拠:

このような牛肉そして羊肉に多く含まれるL-カルニチンが脂肪燃焼を促す、つまりダイエットになるという考えは次のような根拠を基にしているのではないかと考えられます。
ほとんどの脂肪燃焼ダイエット成分は脂肪組織に蓄積されている中性脂肪を脂肪酸に変換する作用を促進する働きがあり、この脂肪酸が血液に乗って筋肉組織内のミトコンドリアに運ばれTCAサイクル(クエン酸回路)に入って初めてエネルギーとして消費されます。
しかし現実には脂肪燃焼と脂肪分解の違い@ダイエットなどでも触れましたように、運動などにより消費カロリーが増えなければ、せっかく中性脂肪が脂肪燃焼ダイエット成分により脂肪酸に変えられても使い道がないため、またすぐに中性脂肪に戻ってしまいます。
このことが脂肪燃焼ダイエット成分を摂取しただけではダイエット(肥満解消)にはならない原因と考えられます。
ところがL-カルニチンにはこれらの脂肪燃焼ダイエット成分とは異なる働きがあります。具体的には作用する場所が異なっています。
L-カルニチンには他の脂肪燃焼ダイエット成分が生成を促す脂肪酸がミトコンドリアに取り込まれる際に不可欠の物質であるため、L-カルニチンが増えればミトコンドリアに取り込まれる脂肪酸の量が増え、その結果TCAサイクル(クエン酸回路)がより多く働き、このことがダイエットにつながるのではないかとの期待を持たせます。
さらにL-カルニチンは体内でも合成されますが、加齢と共に合成量が減っていくことが知られているため、この点からも不足したL-カルニチンを補えばTCAサイクル(クエン酸回路)の中で脂肪(脂肪酸)がドンドン燃焼されダイエットになるはずとの期待を抱かせます。
これがL-カルニチン摂取による脂肪燃焼ダイエット効果の仮説と思われます。

他の脂肪燃焼ダイエット成分と同じく摂取しただけではダイエット効果は望めない…

しかし実際はページ末の国立健康・栄養研究所の参考ページにもありますように、L-カルニチンの脂肪燃焼ダイエット効果は人間での検証はおろか動物実験においてさえも実証されていませんし、それ以前にL-カルニチンを経口摂取しても体内のL-カルニチン濃度が増加しなかったという実験結果が得られています。
したがってL-カルニチンは他の脂肪燃焼促進成分とは作用機序は異なってはいますが、運動などによる活動量の増加で消費カロリー自体を増やさない限りはダイエット(体重減少)効果は望めないという点では同じです。

L-カルニチンの脂肪燃焼ダイエット効果が得られない原因(私見):

これはあくまで私見ですが、L-カルニチンの摂取量増加に期待したような脂肪燃焼ダイエット効果が得られないのには次のような原因が考えられます。

活動量(運動量)が増えない限り消費カロリーも増えない

脂肪が燃焼するということは脂肪がエネルギーとして利用される、つまり消費カロリーが増えるということですが、消費カロリーを増やすためには運動をしたり日常の活動量を増やしたりする必要があります。
これがL-カルニチンなどの脂肪燃焼ダイエット促進成分に限らず、すべてのダイエット効果をうたう成分を摂取しただけでは痩せない根本的な理由と思われます。
もし仮に活動量が増えていないにも関わらずカロリーの消費がドンドン増えていくならば、それは異常な状態であり例えば甲状腺機能亢進症のような頻脈・目の玉が飛び出してくるなどの症状を引き起こしていまうはずです(@_@;)

脂肪燃焼が減ると代わりに糖質の燃焼が増える可能性

次に上述のようなエネルギー消費の法則があるとしても、加齢により体内のL-カルニチンの合成量が減りますと、脂肪酸が筋肉組織のミトコンドリアで効率的に消費されず、結果的に消費カロリーが減ってしまうため、その不足分を補えば脂肪燃焼が促され消費カロリーが元のように増える可能性も考えられます。
しかしL-カルニチンの摂取量を増やしてもダイエット(体重減少)効果は見られなかったという臨床実験の結果を考慮しますと、およそ次のような原因が考えられます。
人間の体は脂肪と糖質をエネルギー源として利用しており、両者は活動量(運動量)により燃焼比率は異なりますが、常に同時に消費されています*。
したがってたとえL-カルニチンの減少により脂肪(脂肪酸)の燃焼量が減ったとしても、その減少分が糖質燃焼の増加で補われている可能性が考えられます。
もちろん体内に蓄えられている糖質の量は脂肪に比べて遥かに少ないものですが、それでも肝臓と筋肉組織での貯蔵量を足し合わせますと2000~2500キロ カロリーはあり、簡単に消費しつくされてしまう量ではありません。
*ただし脳だけは糖質のみをエネルギー源として利用しています。

L-カルニチンの脂肪燃焼ダイエット効果が脂肪の燃焼割合を高めただけの可能性

もう一つの原因としては、L-カルニチンの増加により実際に脂肪の燃焼量が増えたとしてもトータルの消費カロリーが変わらないため、糖質の燃焼量が減少してしまう可能性です。
ただし上述したように、臨床試験ではL-カルニチンを経口摂取しても体内のL-カルニチン濃度が増加しなかったことから、こちらの可能性は低いように思えます。

牛肉は脂肪の含有量が多い:

最後に話を冒頭のテレビ番組に戻します。「U・LA・LA」ではL-カルニチンの含有量のみを取り上げて牛肉のダイエットへの有効性を強調していましたが、牛肉の摂取のダイエットに不利な、もっといえば肥満メタボリックシンドロームのリスクを高める点については一切伏せられていました。
たとえば牛肉は鶏肉や豚肉に比べて最も脂肪の含有量が高く、さらに含まれる脂肪の質(脂肪酸の種類)についても必須脂肪酸(不飽和脂肪酸)の割合が低く、反対に食事から摂取する必要がなく内臓脂肪となりやすい飽和脂肪酸の割合が高いという特徴があります。
したがって牛肉を好んで食べることはL-カルニチンの摂取量を増やしはしますが、同時に減らすべき脂肪をせっせと内臓脂肪や皮下脂肪としてため込んでいるともいえます。

和牛の霜降り肉はダイエット・健康の大敵:

特に和牛の霜降り肉はダイエットや健康の大敵と考えられます。和牛の霜降り肉は通常は脂肪分の比較的少ないはずの筋肉の部位にまで脂肪が差し込まれ、その様が「霜降り」と呼ばれるわけですが、肉全体の脂肪含有率は40%とクリームチーズに匹敵する高脂肪食品です。
例えば200グラムの和牛の霜降り肉を食べるだけで80グラムの脂肪が摂取されることとなり、この値はすでに一日の脂肪摂取量上限を超えています(@_@;)
このため「牛肉を食べるとL-カルニチンの脂肪燃焼促進によるダイエット効果でドンドン痩せる」との情報を真に受け牛肉中心の食生活を続けることは、ダイエットはおろかメタボリックシンドロームをはじめとした重大な健康被害のリスクを高める恐れがあると考えられます。
またこのことは疫学調査からも明らかです。食習慣の欧米化に伴い肉食、特に牛肉摂取の割合が増えた国では、日本やハワイをはじめとしてほぼ例外なく肥満やメタボリックシンドロームの患者数が増えているとの結果が出ています。
長寿で知られる沖縄でさえ、若年・中年層に限れば肥満の割合が全国平均を上回っており、これは食習慣のアメリカ化が原因と考えられています。
※脂肪燃焼ダイエット効果については疑問符のつくL-カルニチンも、参考ページによればアルツハイマー病などによる認知症の症状抑制や循環器系の疾患に対しては治療効果が期待されているようです。

L-カルニチンの脂肪燃焼ダイエット効果 参考ページ:

(といっても効果が低いことを立証しているものですが^^;)
L-カルニチンについて 国立健康・栄養研究所 食品機能研究部
アセチル-L-カルニチン 健康食品の安全性・有効性情報 国立健康・栄養研究所
カルニチン 健康食品の安全性・有効性情報 国立健康・栄養研究所

「脂肪分解・燃焼メカニズム」参考文献

エネルギー代謝を活かしたスポーツトレーニング 講談社



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コメント (2)
  1. 匿名 より:

    やはり、飲むだけで痩せるのは無理
    運動するために食事を考える

  2. 匿名さん
    「L-カルニチンの脂肪燃焼ダイエット効果☆牛肉・マトン(羊肉)を食べると痩せる?」にコメントありがとうございます。
    仰る通り、現実は厳しいですね^^;
    今後ともダイエット食品・カロリー・ダイエット運動日記ブログをよろしくお願い致します。

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