低炭水化物ダイエットは短期的なダイエット(体重低下)にはなっても、長期的には糖尿病などの生活習慣病の原因となるメタボリックシンドロームのリスクを高めかねません。特に炭水化物抜きダイエットには様々な危険性があると考えられます。
注)この記事は健康な人が行う糖質制限ダイエット(低炭水化物ダイエット)について触れたものであり、糖尿病の治療で行われる糖質制限についてのものではありません。
摂取カロリーが減っているのに増え続ける糖尿病患者数
低炭水化物ダイエットでメタボリックシンドローム・糖尿病に?
さらに危険な炭水化物抜きダイエット
・集中力の低下・慢性疲労やストレスによる精神疾患の危険性
・消費カロリーの低下
高脂肪・低炭水化物の食事によるメタボリックシンドロームの実例
ダイエットで減らすべきは炭水化物よりも脂肪
先日のNHK『きょうの健康』で糖尿病の原因と治療の特集をしていましたが、番組の中で興味深い統計データが示されていました。それは近年の糖尿病の患者数と摂取カロリー・脂肪摂取量の推移です。
統計によればここ30年、糖尿病の患者数と脂肪摂取量は増え続けていますが…意外なことに摂取カロリーだけは年々減り続けています☆
カロリーを摂り過ぎれば肥満になり、その結果メタボリックシンドロームにより糖尿病などの生活習慣病に罹るリスクが高まるはずですが…この統計はその常識を覆すものでした…
つまりトータルの摂取カロリーが減っても脂肪摂取量が増えるれば、糖尿病やメタボリックシンドロームの予防対策にはまったく効果がないどころか、むしろ発症リスクを高めてしまうのです…
この統計では明示されていませんが、近年は食習慣の欧米化から肉類の摂取量が増えていると推測されることから、たんぱく質の摂取量が減っているとは考えがたく、したがって摂取カロリーの減少は炭水化物摂取量の大幅な減少によるものと推定されます。
このことで思い出されるのが低炭水化物ダイエットや、もっと過激な炭水化物抜きダイエットです*。
大好きなお肉をお腹一杯食べながらも、少しでも摂るとたちまち太る?と信じられている炭水化物を極力減らすことで痩せられるという理想的なダイエット方法?です。
しかし私が過去に試した限りではすぐにお腹が空いてしまいますし**、食事のメニューが大幅に制限されてしまうためストレスがたまり、なかなか長続きしません。
したがって一時的なダイエット(体重減少)にはなってもその効果が持続せず、また糖尿病の統計データが示すように糖尿病やその一因となっているメタボリックシンドロームの発症リスクを高めてしまうことにもなりかねません。
この30年間、私たち日本人は意識的・無意識的に低炭水化物ダイエットを行うことで糖尿病やメタボリックシンドロームの患者数を増やしてきたとも言えます。
*もっとも厳密にはほとんどの食べ物には僅かながらでも炭水化物が含まれていますので、完璧な炭水化物抜きダイエットを目指せば断食(絶食)に近い食事になってしまいます。
**血糖値が下がったことで空腹を感じているのに糖質(炭水化物)を摂取しないと血糖値が上がらないため、胃の中が空っぽになるとまたすぐに(炭水化物の摂取を促すために)空腹感が生じます。
低炭水化物ダイエットに加えてさらに危険性が高いのが炭水化物抜きダイエットです。
炭水化物抜きダイエットとは文字通り炭水化物の摂取量を限りなくゼロに近づけるダイエット方法ですが、このような過激なダイエットには次のような危険性があると考えられます。
脳は活動のエネルギーをもっぱら糖質(炭水化物から分解される栄養素)から得ているという特殊な組織です。このため炭水化物の摂取不足は、たちまち脳の活動に悪影響を及ぼし、集中力の低下や倦怠感・慢性疲労などを招きます。
また炭水化物が十分に摂取されないことによる空腹や大幅な食事メニューの制限などにより慢性的なストレスが生じ、持続すればうつ病などの重大な精神疾患の発症につながる恐れもあります。
(ダイエットしてるわけですから、やけ食いでストレスを発散するわけにもいきません)
筋肉も脳ほど極端ではありませんが、エネルギーの大半を糖質に頼っています。このため糖質の主な供給源である炭水化物の摂取不足は必然的に活動量の低下につながり、その結果消費カロリーの低下を引き起こします。
以上のように低炭水化物ダイエットは継続が難しいばかりでなく糖尿病やその一因となっているメタボリックシンドロームの発症リスクを高め、さらに炭水化物抜きダイエットにいたっては、うつ病などの重大な精神疾患の発症にむすびつきかねない非常に危険なダイエットであるといえます。
最後に高脂肪・低炭水化物の食事がもたらす悪影響について実例を示します。
私の体型はBMI値18・体脂肪率7%と痩せ型で筋肉質の体型です。これは少食(外食ではいつもごはん=炭水化物を減らしてもらっています)ため摂取カロリーが少ないことに加えて、毎日の運動(自転車・ピラティスなど)を欠かさない、つまり消費カロリーが多いことが要因と思えます。
ところがこのように痩せ型で筋肉質の体型にもかかわらず健康診断(成人検診)を受けますと、ある検査項目にいつも引っかかってしまいます。それはメタボリックシンドロームの診断基準の一つである脂質異常症(従来の高脂血症)です。悪玉コレステロールの値が150以上あるのです(T_T)
脂質異常症の原因はおそらく、低カロリーではあっても高脂肪な食事にあるように思えます。
私はよく新宿のベルクというドイツ料理のお店でエッセンベルクというランチメニューを食べますが、このメニュー、ワンプレートに30種類の食材が使われているので野菜もけっこう摂取できるのですが、それにも増してハム・レバーペースト*・ポークアスピック**・牛肉入りのスープ・生クリームが添えられたクレープと高脂肪の料理が多く、反対に炭水化物の方は少なめとなっています。
このような低炭水化物による低カロリー(試算では600キロ カロリー程度)・高脂肪な食事を毎日のように食べる食習慣が、痩せ型で筋肉質の体型にもかかわらずメタボリックシンドロームの診断基準の一つである脂質異常症を発症してしまう原因と考えられます。
私のような体型でさえこの始末ですから、BMI値のもっと高い方でしたらメタボリックシンドロームや糖尿病の発症リスクがさらに高まるのは想像に難くありません。
ダイエットのために減らすべきは、昔から(まともな)栄養士などの専門家が推奨しているように、炭水化物ではなく脂肪です。
*レバー自体には脂肪はほとんど含まれていませんが、レバーペーストにはレバーと同量のラードが含まれていますので大変高脂肪(脂肪率40%以上)です。
**豚のゼラチンを生クリームで和えたものにコンビーフを加えた料理。
NHK『きょうの健康』増え続ける糖尿病-日本人にリスクあり
京都市 糖尿病・生活習慣病・メタボリック症候群 かぎもとクリニック 広報誌-オリーブ
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※糖尿病食および糖尿病食レシピはあくまで糖尿病治療のための食事メニューであり、糖尿病予防のための食事メニューではありません。
健康な方が糖尿病食を食べることはカリウム不足などの重大な栄養不足を招く恐れがあります。くれぐれもご注意ください。
まだデータがありません。
正しい情報の発信、ありがとうございます。さらに補足する内容としてデータを貼っておきました。
http://d.hatena.ne.jp/bonbokorin/20081127/1227777797
> bonbokorinさん
「低炭水化物ダイエットでメタボリックシンドローム・糖尿病に?」にコメントありがとうございます。
糖尿病発症と脂肪摂取量に関する貴重な統計データのご提供ありがとうございました。
脳や筋肉ははブドウ糖だけでなく、脂肪酸-ケトン体からもエネルギーを得ることができると思います。ブドウ糖のみがエネルギー源の細胞は、ごく一部(赤血球、角膜、水晶体など)で、人体は通常状態において脂肪酸-ケトン体から多くのエネルギーを生産していると記憶していたのですが。
> akさん
「低炭水化物ダイエットでメタボリックシンドローム・糖尿病に?」にコメントありがとうございます。
調べてみますとご指摘のとおり、脳は炭水化物だけでなく脂肪からも15%程度のエネルギーを得ることができるようですね。
貴重なご指摘ありがとうございました。
このようなウソを平気で書き連ねるとは恐ろしいことです。
既得権益側の情報のせいで苦しむ人々がどれだけいることでしょうか。この記事を信じる患者さんがいないことを祈るばかりです。
糖分を取りながら糖尿病が良くなるのなら、アルコールを飲みながらアルコール中毒、依存症が治ると言っているようなものではないですか?身内に患者がいるので見過ごせませんでした。
どうか、苦しむ人々に偽りの情報を与えるようなことはやめてください。
>あきれた様
「低炭水化物ダイエットでメタボリックシンドローム・糖尿病に?」にコメントありがとうございます。
ご指摘の件ですが、この記事は健康な人が炭水化物のみを大きく制限するダイエットの危険性を指摘したものであり、糖尿病の治療についてのものではありません。
仰るとおり、糖尿病の治療において糖質制限は必須であり、そのことまで否定するものではありません。
以上、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。