個性化の過程:
ある個人は、その主機能をまず頼りとし、補助機能を助けとしつつ、その開発を通じて、劣等機能をも徐々に発達させてゆくのである。
このような過程を、ユングは個性化の過程と呼び、人格発達の筋道としてその研究をし、心理療法場面に於いても人格発達の指標として用いた。これらの関係は夢分析に於いて特徴的に現れることがよくあり、…(P.58)
ボクの場合、主機能は「思考」、第二次機能は「直観」、第三次機能は「感覚」、劣等機能は「感情」と推測されます。
「一芸に秀でる」「適材適所」の弊害:
現在では、ともかく一芸に秀でることが生きるための近道であるので、主機能が一面的に開発され、劣等機能の抑圧が効かなくなったところで神経症となり、心理療法家を訪ねる人が多い。(P.59)
この本が書かれたのは1967年ですが、その頃から既に「一芸に秀でる」ことが重視されていたのですね。
適材適所という言葉があります。組織にとっては生産性向上のために欠かせない方策ですが、個性化の過程には、「一芸に秀でる」ことと同様、主機能のみの発達を促すことで、むしろマイナスに作用します。
「劣等機能の開発」の危険性:
一般的に言って、心理療法の場合、劣等機能の発達を直ぐに手掛けるような無謀なことをするよりは、補助機能の発達に心掛ける方が適当な場合が多い。これらのことは、とかく公式主義に陥ると危険であって、その事例ごとに慎重に考えるべきである。(P.59)
劣等機能の開発は、無理矢理エッジを越えることになり兼ねません。とは言え、メールカウンセリング時のプロセスワークのように、内的な要請でエッジを越えることもありますので、一概に公式化できるものではありません。
ボクの場合は「慎重さ」に加えて、(知識を一旦、脇において)「頭を空っぽにする」ように心掛けています。
個性化=個性的?
女性の場合は、鋭さよりも柔らかさが期待されるため、一つの機能が鋭角的に開発されていないことが多く、したがって、その型も分かりにくいようである。(P.59~60)
女性も社会進出に伴い、前述の「一芸に秀でる」ことを期待されるため、この傾向も変化してきているはずです。
また、男女を問わず個性化の過程が進展すると、それぞれの機能がバランス良く発達するために、結果として「どの型かが分かりづらく」なってゆきます。
「個性化=個性的」ではありません!
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個性化とマンダラ/C.G.ユング著
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個性化の過程 ユングのタイプ論よりみた人格論 ユング心理学概説/C.A.マイヤー著
心理学的タイプ別の個性化の過程が描かれています。
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子どもの個性化―ユング派の子どもの心理治療 分析心理学シリーズ
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ユング心理学入門/河合隼雄著
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