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内向的・外向的タイプ@ユング心理学入門

ユング心理学入門/河合隼雄著 第3章「タイプ」(P.37~47)を読む。

内向的・外向的タイプ:

ユングの用いた内向的・外向的の言葉は、誰知らぬものがないほど有名であるが、彼の本来の考えはあまり理解されていないように思われる。(P.37)

典型的なのは「内向的タイプ=暗い・内気」「外向的タイプ=明るい・社交的」でしょう。この解釈は、いつ、どこで生まれたものなのでしょう?
これは私見ですが、社会(特にビジネス)のニーズが関係している気がします。外向的タイプの関心が外界の物事や人間といった「客観的要素」に向けられるのに対して、内向的タイプの関心は心の内面、つまり「主観的要素」に向けられます(これが「内向的・外向的」の本来の定義です。関心が主としてどちらに向けられているか、による区分けです)。
ビジネスの社会で扱われるのはもっぱら、数値化可能な「客観的要素」のはずです。このため、“相対的に” 客観的要素の扱いに慣れている「外向的タイプ」が高く評価される半面、不馴れな「内向的タイプ」の評価は低くなりがちです。
このことが、前述のバイアスがかかったタイプの解釈に影響を与えているのではないでしょうか?
参考までにキーワードアドバイスツールで、検索エンジンにおける内向的・外向的の月間検索数を調べてみたところ、内向的の方が圧倒的に多いという結果が出ました(内向的:474、外向的:60、2005年4月現在)。
内向的タイプの方が(外向的タイプに比べて)より多くの問題を抱えており、ご自身のタイプに関心を持たざるを得ないことを表わしている気がしてなりません。
注)現実には、完全に「外向的タイプ」あるいは「内向的タイプ」の人はいません! あくまで、どちらかの傾向が強いに過ぎません。

タイプを特定することの難しさ:

…基本的態度(内向的・外向的)は、(観察しうる)外的行動と必ずしも一対一に対応していない。…たとえば、内向的タイプの人は必ず人付き合いが悪いとか、行動的でないとか、簡単に行動に置き換えて言うことができない。(P.39)

ユング心理学では「無意識の意識に対する補償作用」が存在すると仮定しています。
たとえば、内向的タイプの傾向が強い人の無意識は、(補償作用が働き)逆に外向的タイプの傾向が強くなります。
したがってタイプを判定するためには、表面に現れている行動が意識によるものなのか、あるいは無意識の補償作用によるものなのかを判断する必要があります。

タイプは生まれ持ったもの:

この二つのタイプは、生まれつきの個人的素質に帰せられるとユングは考えた。…その個人の素質による態度を逆転させる(あるいは逆転させられる)と、甚だしい疲労現象が現れ、心の健康が害される。(P.44)

私の人生にも「態度の逆転」が起こった可能性があります。幼い頃より、(私の記憶では)両親および祖母から「女の腐ったようだ」と言われ続けた覚えがあります。
加えて中学教師から、私の合理的でない行動に対して「そんなんじゃ、社会に出てから生きて行けないぞ!」と言われた時は、何とも形容し難い恐怖を感じました(詳しくは自分史をご覧下さい)。
この時のショックを境に、自分が何を感じ、何を欲しているのかが分からなくなり、徐々に行動がチグハグになっていった気がします。

一つの集団(家庭、社会、時代精神等)が、どちらか一方の態度に高い価値判断をおく傾向のあることを指摘しなければならない。…実際、アメリカにおいては、内向的という言葉は、一般には変人、不適応者という意味を含んだ感じで受け取られるほどである。(P.44~45)

現在の日本でも状況はアメリカに近いと思われます。先ほどの「社会のニーズ」と考え合わせれば、外向的タイプの価値観が主流を占めているため、少数派の内向的タイプの人々にとっては「生きづらい」世の中になっていると言えます。
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ユングのタイプ論―フォン・フランツによる劣等機能/ヒルマンによる感情機能
ユング自身の「タイプ論」は難解な上に大部です。こちらを先に読むのが無難かもしれません。
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ユング心理学入門/河合隼雄著
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