最初に私自身が見たこちらの夢の内容をご覧ください。
セルフ(自己)からの警告夢@夢日記
自分を超えたセルフ(自己)という心の存在
ユング心理学では元型と名付けらた、精神分析が想定する個人的無意識の領域とは別に、その個人の心の範囲を超えた無意識の領域が存在すると考えられています。
より具体的には人類さえも超えた、この宇宙全体に共通した目に見えない力が働いているとする考えです。
その元型にも発達段階に応じていくつかの種類があり、もっとも高次のものはセルフ(自己)と呼ばれています。
ですからここでのセルフ(自己)とは、自己評価などの概念で使われる「自分」「私」という意味での自己とは、言葉は同じでもまったく異なるものです。
このセルフは普段私たちが「自分」と感じている専門的には「自我」と呼ばれる心の領域を含めた心全体を表すものと考えられ、第二人格とも呼ばれています。
そしてユング心理学では、第一人格である自我が第二人格であるセルフ(自己)に主役の座を譲ることを心の成長と考え、そのプロセスを個性化と名付けています。
このセルフは夢の中ではあらゆる形を取る可能性があると考えられていますが、一番典型的なのは長老のような威厳を感じる年長の人物です。
その多くはユング自身の夢に出てきたフィレモンと呼ばれる存在のように神秘的な人物のことが多いようですが、私の夢のように身近な人がその役割を(夢の中で)担うこともあるようです。
ですから実は「これがセルフの特徴」というような客観的な基準は存在せず、夢見手が畏敬の念を感じ、その人物の言葉に思わずハッとさせられたのであれば、それは個性化へと導くセルフからの大切なメッセージと考えて差支えないのではないかと個人的には思います。
「セルフの顕現」=「個性化の達成」ではありません
最後に若い頃の私がまさにそうでしたが、ユング心理学を勉強しているうちに、セルフが心の成長である個性化の最終段階の象徴であることから、そのセルフらしき存在が夢に出てきたことで自分が個性化を達成したかのような気分に陥り、異様な高揚感を感じることがあるかもしれませんが、それは恐らく錯覚に過ぎないと思います。
なぜならユング曰く個性化とは一生涯をかけて達成されるものだからです。
私の専門領域である自己愛的な性格構造の方は特にこのような錯覚に陥りやすいようですので、ご注意くださいませ。
もちろん私自身も自己愛的な性格です。